読書感想文(東アジア共同体)+世銀

東アジア共同体を設計する

東アジア共同体を設計する

東アジア共同体をどうつくるか (ちくま新書)

東アジア共同体をどうつくるか (ちくま新書)

東アジア共同体をめぐる議論は、今まさに花盛り。
いったいいくつの学部ゼミ論文やディベート、インターゼミでこのテーマが語られているのだろうか。

『設計する』は、政治経済学的な視点から東アジア共同体をめぐる諸イシューが整理されていて便利。
ここから卒論のテーマを探すのも良いと思う。貿易の不利益という点で、萩原伸次郎氏のNAFTAと農業に関する論考が興味深かった。

『どうつくるか』は、東アジア共同体に対する進藤氏のパースペクティブを確認することができる。
その提言には、アメリカへの眼差しを含め論争含みな箇所が少なくない。
有益だったのは、第6章「東アジア安全保障レジーム」である。ここでは、伝統的安全保障と非伝統的安全保障が整理されている。
進藤氏は「感染症」を重要な安全保障上の課題と捉えているが、最大の安全保障課題だと思っている私は行きすぎだろうか。
また、アジア地域の農業と共通農業政策に特別の注意を払え、という姿勢にも共感する。
ただ、具体的な政策論を期待していた私としては、やや物足りなさを覚えるのが本音である。

(追記)

世銀スタッフによる世銀批判らしい(WTO関係MLより)
http://siteresources.worldbank.org/INTPOVRES/Resources/DisciplinaryMonopoly.pdf?resourceurlname=DisciplinaryMonopoly.pdf
学部の時読んだスティグリッツの『改革はどこへ』や大野泉氏の本が走馬灯のように…。

世界銀行 開発援助戦略の変革

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