廃棄物の輸出

http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008033002099481.html
有害廃棄物を比に輸出 日本の業者、法令違反か 2008年3月30日 朝刊  【マニラ=共同】人体や環境に悪影響を及ぼす恐れのある有害廃棄物を、日本の一部業者が「再使用品」の名目で処理費用を支払いフィリピンに「輸出」していることが29日、同国政府当局者や廃棄物処理業者の証言で分かった。税関の検査はほとんど素通りで、監視体制の甘い途上国が先進国の「ゴミ処分場」と化している構図が鮮明となった。日本とフィリピンは2006年9月、物品やサービスの貿易自由化を柱とする経済連携協定(EPA)を締結。しかしフィリピン側には「日本の有害廃棄物受け入れを容認する」として反発が強い。海外の業者に金銭を支払い廃棄物処理を依頼することは日本の廃棄物処理法違反に当たり、EPA発効に影響を与える可能性もある。フィリピンの貿易産業省によると、日本は金属やテレビなどの中古家電計60種余りを再使用品として輸出。実際には有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約の対象となる「再使用不可」の状態のものが多く含まれ、同省当局者は日本の業者が処理費用を支払っていることを認めた。  マニラの大手廃棄物処理業者によると、日本の業者から有害物質を含む溶剤を100万ペソ(約240万円)で引き取るよう持ち掛けられた。複数の業者が「料金を受け取った後、処理をせず投棄場に捨てたり地中に埋めたりしている」と話した。西アフリカ・コートジボワールでは06年、欧州から運ばれた有害廃棄物が原因とみられる症状で少なくとも15人が死亡、10万人が手当てを受けた。フィリピンでも同様の事態が起きる可能性は否定できない。 中古家電の輸出については日本国内でも非政府組織(NGO)が問題視しているが、環境省の担当者は「途上国では修理すれば使えることもある」として、日本側で廃棄物をえり分け規制するのには限界があることを示唆している。