メモ

さて、世界経済の理論化という作業においては、国際分業論が要の位置を占めるのであるが、工業と農業との国際分業、あるいは工業生産と原料生産との国際分業という場合、これまでは交換価値的視点=価格メカニズムの貫徹という視点が余りにも絶対視されてきたのではないかと思える。もう少し原料の特殊性=使用価値的視点を強くおし出してもよいのではないだろうか。広い意味での農業は資本時間を実現させるのにもっとも困難な部面であり、従って資本の大きな制限となっているという局面は無視されるべきではない。天然原料から合成原料への切り換えの家庭が着実に進展してきたことからすれば、この使用価値的視点への過度の振り出しは戒めなければならないことであるにしても、資本の循環と使用価値の存在との間には必然的な制限が譲出されるという論理は用意されるべきであろう。

『世界経済論』283-284