GPE

グラムシアン・アプローチは、国際システムの相対化と資本主義システムの不均質な世界化に端的に象徴される現在の構造変動のありようをより包括的に捉えるために、ネオリアリズムに代表される従来のIPEをも批判的に内包するGPEへの展開を説く。

批判的政治経済学としてのGPE
GPEは、単に分析の単位を「国際」から「グローバル」へと空間的に拡張するだけではない。そこには、前節で述べた批判的パースペクティブからの「政治経済」概念の根本的な問いかけがかかわっている。それは、以下の3点にまとめられよう(Gill and Law,
, xvii)。1.政治と経済との関係性を、いずれか一方に説明要因を求めるのではなく、相互作用的なものとして歴史的に包括的に理解すること、それは、政治がいかに経済を形づくるのかという次元と経済が政治をいかに形づくるのかという次元とを併せて考えるということであり、たとえば、単に国家と市場といった政治と経済との制度的な関連性を考慮するというレベルに留まるものではない。そして、より根本的には、2.特定の歴史的状況において、「政治的なるもの」および「経済的なるもの」がいかなる社会的勢力によって構成されてきたのかという問いかけが要される。そしてまた、このような政治経済の分析は、3.諸国民国家間や政府間の関係といった伝統的な国際関係に狭く限られるべきではなく、「グローバルかつ国際的であることを必要とする」(ibid,xxii)のである。

高嶋、p.63