読了(「国際政治経済」)

国際政治経済 (シリーズ国際関係論)

国際政治経済 (シリーズ国際関係論)


おすすめ、よい本だと思う。

国際政治経済学(IPE)のテキストは幾つかあるが、単著の形でまとめられているものは少ない。その意味で貴重な文献である。

アプローチも、いわゆる正統的なIPEのみならず、コンストラクティビズムなどの批判理論も検討しており、それぞれの意義と問題点を明示している点も好感が持てる。批判的なIPEの代表論者であるスーザン・ストレンジにほとんど言及していないのはまあご愛嬌か。

政治学・国際関係論の研究者によるIPEは、経済学の知識や説明に疑問符がつくことも少なくないが、本書においてその問題はほとんどなかった。

注文をつけるとすれば、おそらく貿易が専門ということもあるのか、やはり章ごとに論理の深さと参考文献の目配りにばらつきがあることだろうか。特に開発と環境の部分は、少し喰い足りないように思う。

とはいえ学部・大学院初級のテキスト・入門書としては、かなりの水準にあることは違いない。広く読まれることを期待する。