読了(『欧州連合』)

欧州連合―統治の論理とゆくえ (岩波新書)

欧州連合―統治の論理とゆくえ (岩波新書)

おすすめ。EU法の専門家による欧州統合の入門書かつ専門書。
この手のEU論は、ユーロを中心とした経済面からの説明、あるいは現地に滞在されていた方の現場感覚あふれる記述、このいずれかが大半であった。

その中で本書は、政治、経済、文化、など非常にバランスよく、欧州統合の現段階を説明しているところに特長がある。

特に移民関係の議論に二つの章(第5章、第6章)を割いており、自由移動と各国文化の関係、EU市民権の問題に触れることができるのは有益である。
個人的には、最近気になっているコンセプトである"Normative Power"(規範形成パワーと訳されている)を記した8章が興味深かった。