昨日今日コピーして読んだ論文

・諸富徹(2006)「環境・福祉・社会関係資本――途上国の持続可能な発展に向けて」『思想』No.983(2006年3月),pp.65-81.

(感想)コモンズ論とマイクロファイナンスについてきわめて明快な整理がなされている。また、情報の非対称性で説明できるかと思わせておいて、社会関係資本で説明する論理展開もさすがである。ただ、国際的なコモン・プール・リソースの問題について、諸富氏が行った整理がどこまで有効なのかという疑問が残った。

・西村智朗(2005)「国際環境条約の実施をめぐる理論と現実」『社会科学研究』(東京大学社会科学研究所),pp.39-62.

(感想)法学を専門としない私にとっては、こういうレビュー論文はたいへんありがたい。最後は、いわゆる「レジーム間調整」を課題として終えているのもまた、研究上の勇気をいただく。

・伊藤丈人・太田宏(2006)「食品安全問題を巡る日本国内の政治過程――遺伝子組み換え食品とBSE問題を事例として」『青山国際政経論集』(2006年5月),pp.1-41

(感想)これから読みます。

・原洋之介(2006)「経済のグローバル化と〈売る〉ための農業――東南アジア砂糖プランテーションの歴史的教訓」『at』6,pp.29-41.

(感想)世界経済の中での農業を歴史的に回顧し、現在のWTO体制を批判的にみるとともに、国際商品協定の積極面を再検討するべきと主張する。議論の出発点には、いわゆる「農業の異質性」がおかれている。これはかつて宇野弘蔵が問題とし、その後本山美彦の世界経済における異質性理解へと連続するものである。「例外なき貿易自由化」が声高に叫ばれる一方で、「援助よりも貿易を」と訴える途上国。今日の世界経済において、一次産品貿易とそのシステムの研究は、まさに焦眉の課題であろうと、私は思う。

世界経済論 (1976年) (マルクス経済学全書〈6〉)

世界経済論 (1976年) (マルクス経済学全書〈6〉)